帝王切開と自然(経膣)分娩のどちらを選ぶ?

身の回りでも帝王切開で産む人が昔よりも増えてきたのではないでしょうか?


帝王切開の比率は多くなっているようです。
先進国では25%から30%ぐらいが帝王切開。
アメリカでは32%。
ブラジルと中国では50%近い。
ドミニカ共和国、イラン、アルゼンチン、メキシコ、キューバが30%〜40%。
母子の命を守るうえでは必要な治療手段だと思えますが、病院の回転率のために安易にお腹を切って胎児を取り出すという方法を選択する病院もあるらしいです。
それに加えて、メスを使う手術の中でも簡単な部類になるので、医者も安易に妊婦にそれを進める傾向にあるようですが・・・。

中国の帝王切開の文化は、四柱推命の命式の日にちと時間を、できるだけその子の運命に良い影響があるようにという意図で行われていた名残だと思います。なるべく決められた日時に生まれてこないといけないという事で、皇帝の子どもはお腹を切って生まれてくるという事が帝王切開の語源らしいです。

帝王切開は、母子を守る上で必要な技術だと思います。
昔だったら、母子ともに命を落としてしまったであろう出産を、今の医療で減らせていることも事実です。

医療が発達した現代と昔の医療ではどちらがリスクが高いのか?


フランスのデータでは、
帝王切開をした時の母親の死亡率は
10万人に13人
自然分娩の母親の死亡率は
10万人に4人
という確率になるので、帝王切開をした時の母親の死亡率は自然分娩に比べて約3倍ぐらい。(確率はだいぶ小さいですが。)
これは、お腹を開く事での麻酔や感染症、麻酔の後遺症、出血多量など、術後の影響が大きいのでないかと思います。(たまにヤフーニュースなどでも取り上げられていますね。)
それに加えて帝王切開で生まれた子どもは感染症になりやすいらしい。
メチシリン耐性ブドウ球菌に感染した新生児の80%は帝王切開で生まれているし、母親がアレルギーで、なおかつ帝王切開で生まれた子どもはそうでない子どもより7倍もアレルギーにかかりやすいそうです。

経膣分娩はやはり大切


帝王切開は自然分娩と違って、子どもが母親の膣を通るという経験を経ません。
母親の膣を通ることで子どもは膣にある細菌を取り込んで出てきます。
その細菌は空っぽの子どもの腸の中で、最初の細菌フローラを形成していきます。
腸内細菌(微生物)一式を母親から受け取って出てくることによって、赤ちゃんは、自分のこれからの食べ物(母乳)の消化のための微生物や、免疫機能の準備を腸内(体内)で行います。
お母さんの膣内にいる細菌は乳酸菌が多く、この細菌の組成はラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属のものになります、この細菌類は母乳を餌にして乳酸を作りだしたり天然の抗生物質(バクテリシオン)を産生して体の中に入ってくる人間にとって病原体となる細菌を殺したりと、生まれてきたばかりの赤ん坊の身体を守る役割をします。その最初の細菌がベースとなって、腸内の細菌は時間の経過とともにどんどん複雑に多様になっていきます。

コアラやゴキブリやカメムシなど、子どもが生きていくための微生物を母親が子どもに与えるのは、生物の中では普遍的な事らしいです。

一方、帝王切開の場合は、赤ん坊は最初に触れるのが人の皮膚なので、皮脂や粘膜を好む細菌、コリネバクテリウム属やビオニバクテリウム属の菌が最初に定着をしてそれを中心に腸内細菌が増えやすい傾向にあるようです。

実は人の母乳に含まれるオリゴ糖は消化できないのですが、ビフィドバクテリウム属の細菌は特殊な酵素を生成し、オリゴ糖を餌にして、そこから出る廃棄物、乳酸塩が赤ちゃんの大腸に吸収されて免疫系の発達に重要な役割を果たします。
ですから、赤ちゃんの栄養と消化と吸収を考えると、経膣分娩で膣内の乳酸菌をいっぱい取り込んでくれた方が良いと思います。

オリゴ糖と赤ちゃんが飲む母乳の関係


人のオリゴ糖の種類は約130種類。牛は数種類しかないので、母乳の方がミルクよりも、赤ちゃんの腸内細菌は多様で免疫系も強くなりそうですね。
そして母乳には母親の腸内細菌や免疫細胞、抗体も多く含んでいて、子どもの免疫系の発達にとても役に立ちます。

そしてとても不思議なことに、母乳に含まれる細菌の組成は生後直後、1ヶ月後、2ヶ月後、6ヶ月後と変化していき、数ヶ月経つと、成人の口内にいるのと同じ微生物が入っていて、赤ちゃんの離乳に備えるようになっているようです。
そして初乳には何と数百種類の微生物が入っていて(ラクトバチルス属、連鎖球菌属、エンテロエックス属、ブドウ球菌属などが含まれている)赤ちゃんは1日あたり約80万個の細菌を母乳のみで摂取することになります。

しかし、帝王切開をした母親の母乳には違いがあって、陣痛が始まる前に計画的な帝王切開で出産した女性の初乳に含まれる微生物は経膣出産した女性とかなり違ってしまいます。
そしてその状態が少なくとも6ヶ月は続いてしまいます。それに対して、陣痛が来た後、緊急帝王切開を受けた女性は経膣出産した女性と初乳の微生物が似ています。
これは陣痛中の何かがシグナルとなり、赤ん坊を外に出すことを免疫系に知らせて母乳に必要な栄養が行くように指示を出しているのではないかと考えられています。

計画的な帝王切開の不利な点は産道で必要な微生物を得られないのに加えて
母乳による追加の微生物も得られないという点にありそうです。

まとめ


これらをふまえると、帝王切開は必要な時には必要だが、もし帝王切開をしなくてはいけなくなった時に、赤ちゃんの腸内細菌と免疫系に最善の良い効果を与える方法として、陣痛が来てから帝王切開をした方が良いと思われます。
あと、膣内にガーゼを入れて膣内の粘液を含ませておき、出産後、そのガーゼで赤ちゃんの口や頭を拭ってあげるという方法などをとってあげる方が何もしないよりは良いと思われます。
病院がそういった事をする許可をくれるかどうかは別問題となりますが。

医療技術が進んで、人の命は助かりやすくなった反面、道具や技術が発達したおかげで、人の生きる力や躰の力は昔の人より格段に低くなっているので、どの手段を使うのかって本当に難しい世の中になりましたね。

昔の女性みたいに米俵(60kg)担いで歩けるぐらいの体力があって身体が出来ているのなら、出産なんて今の医療技術があれば楽勝なのかもしれませんが、カバンより重いものを持った事がない、移動は車や電車、仕事中は座りっぱなしという人が多い現代では、科学の技術に全面的に頼らないといけないのかなぁ・・・と考えてしまいます。

参考文献
あなたの体は9割が細菌 アランナ・コリン著
腸と脳  エムラン・メイヤー著

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