アリス・ミラー的育児法 [2]

現代の日本的な暴力


現代でも、虐待で子どもを死なせてしまう事件などのニュースは多々あるのではないかと思います。しかし、現代の日本の社会では、直に触れる肉体的な暴力よりも、言葉や無視などの精神的な暴力の方がとても多いと思います。

◎親が謝れば良い事なのに、親が恥ずかしい事なのに、子どものせいにして子どもを叱る。(公共の場で子どもが騒いでいる場合、あまりにもうるさかったら子どもを違う場所に連れていくか、親が周りに謝ればいいのに、大抵の子どもは叱られます。)

◎自分の意に介さない行動に対しては無視する。(コントロールするためにネグレクトします。)

◎逆に自分が気にいった行動をすれば喜んだり褒めたり、興味を示す。(これを繰り返せば、子どもは思いのままです。優しく感覚がすぐれている子どもほど思い通りです。)

◎他者と比べていかに劣っているかを示して辱めたり、親が残念な表情をしたり、直接子どもに言ったりする。(子どもは他の子と比べられて劣っているという事を親が感じている事にはかなり傷つきます。)

これらは全て条件付きの愛情へとつながります。

こう言った条件をクリアーしないと、愛してくれない。認めてくれない。見てくれない。そういった中で育つと、本当の愛情がわからなくなります。

愛が苦悩と犠牲抜きで可能であろうとは想像もつかなくなり、こう言った人にとっては愛というものは常に弄ばれるものではないかという恐れと屈辱と怒りに結びついたものになってしまいます。その結果、人格の貧困化が起こり、生命力の根が失われてしまい、抑うつ状態に陥ったりもするそうです。

会社や集団の中で条件付きの愛を振り回していたり、抑うつ状態で生きている人たちを見ると、今の日本人の多くは条件付きの愛の中で育ってきたのではないかと思ってしまいます。

“愛とは義務を果たしたり服従したりなどという事とは全く逆のありようなので、ただひたすら愛されている状態を経験するところから育ち得るのです。”

そして、多くの子どもが直面した経験がある虐待は受験虐待なのではないでしょうか?

子どもは幼い頃から自分が興味を持ったものを追求する時間より、学校の勉強や学校の生活習慣に適応する時間をとる事を親から求められます。学校に通って、その階段を上っていかないと普通の社会人として生きていけないと思っているのに加え、少しでも自分の子どもが他の同年齢の子どもに比べて優れた立場にいてほしいと親は考えています。

「宿題やった?」「そんな事じゃ社会に出て生きていけないよ」「頑張らないと」などと言われた事・・・ないですか?


勉強ができる子や無理して勉強しようとする子ほど、幼い頃から親の気持ちを忖度する能力が高いと思います。親の意を汲んで、自分が本当に好きな事や、やりたい事への感情よりも親が喜ぶ事や親が自分に興味や関心を持ってくれる事をしてしまいます。

そういった事をされると親はだいたい喜び安心します。

そしてその結果、勉強ができて普通に大学行って、普通に大きい会社に就職した人の多くは自分のしたい事が何なのか?わからない?私は社畜だ。と言いながら、抑うつとした感情を持ちながら日々の日常を過ごしていたりする人が結構多いと思います。

自分の感情や感覚に従って行動する事も出来ず会社を辞める事も出来ずに、うつ病になったり引きこもりになったりする人、周りでも結構いますよね。(多分、根本的な安心感が育ってこなかったからだと思われます。)逆に、自分の抑圧された感情、自我のはけ口を自分より立場の弱い部下、妻、子どもに求めて直接的、間接的、暴力を振るう人もいます。

こういう事が続いている限りいじめはなくならないですよね・・・。

もちろん学校の勉強って体系立ててまとまっているので、こういった記号を扱う事が好きな子には良いと思います。

でも多くの子どもにとってそういった勉強に興味を持つタイミングってそれぞれ違うと思います。(大人になって歴史や地理や数学、文学、科学に興味が湧く事だってあると思います。)

それを無理やり、みんな同じタイミングでさせられてしまっているように思います。

それぞれ個人が経た経験によって、興味って変わっていくのにね。

食事だって、自分のお腹が減ったら食べたいですよね。決まった時間に無理やり食べたくないものを食べさせられたって、消化に悪いだろうし、美味しくないです。(笑)

ヨセフのように子どもを育てる


アリス・ミラーは聖書を信じている人たちはなぜイエスの父のヨセフのように自分の子どもを育てられないのか?と言っています。新約聖書に出てくるイエスの父ヨセフは、生まれた時からイエスを神の子として大切に育てました。そして子に仕えました。無条件で愛して、大切に育てるという事をしました。

“子ども時代愛を経験しなかった人間は、それを憧れるようにはなっても愛が実は何であるかを知る事をできません“

しかしイエスは愛をどのようなものか知っていたし、自由な意思を持ち間違っているものは間違っていると発言でき、旧約聖書の中のおかしい物事には、おかしいと言う事ができました。それが新しい宗派をつくる事にもなりました。

そしてとても多くの人に影響を与え続ける事になりました。2000年以上にもわたって・・・。

アリスミラー的な育児とは結局、子どもの事を信じてただ愛してあげるというシンプルな事だと思います。

子どもの感情や感覚の発露を親が評価し、裁かない事が重要だと思います。

自分の魂を押し殺してきた親はどうしても、無意識に評価、誘導、裁きを下してしまうと思います。だから最終的には、親が自分の本当の感情に従って生きる事ができて、人間の本当の姿を取り戻す事が必要です。

自分の体で感じる歓び、他の人に優しくされる歓び、自分を表現しようとする欲求、聞いて、見て、わかって、相手になってもらいたいという望み、怒りと憤りを抑圧せず、表に出さずにはいられないという欲求、そして、それ以外にも悲しみ、恐れ、妬み、そねみなどの感情を表現したいという、止むに止まれぬ思いを外に表出できる人間の本然の姿で生きられるようになる事が大切だとアリス・ミラーは言っています。

純粋にあるがままの姿で人生を楽しみたいものです。

それが、子どもにも良い影響を与える事になるという事です。

世代を超えたそういった事の継承が世の中を良くしていったり、楽しい社会にするのではないでしょうか?

参考文献:

才能ある子のドラマ 真の自己を求めて

魂の殺人 親は子どもに何をしたか  山下公子訳

真実をとく鍵 作品がうつしだす幼児体験

闇からの目覚め 虐待の連鎖を断つ

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