F1の種子が毛嫌いされる理由。

F1種を学ぼう


よく、種はF1でも作っているんですか?と聞かれるので、食にこだわっている人の中にはF1を避けたい人が結構いるんだな、と感じています。

F1は雑種第一代、人間に例えるならハーフ

F1の種子とは、母親と父親が違う品種のものを掛け合わせてつくる種子の事。
そしてそれぞれの親の強い形質が次の種子に現れるという特徴(優勢遺伝)を使って、人間にとって都合の良い品種を作りだすと言うものです。
例えば、病気に強い形質の母親と食味が良い父親を掛け合わせた子は、病気に強く、食味が良い子になります。(メンデルの法則ですね。)
これは生産者にとってはとてもありがたいものになります。ハーフに美人やイケメンが多いのは、人間だけではないようです。笑

固定種ももともとF1

昔の農家はそのF1の特徴をうまく生かして、掛け合わせの試行錯誤をし、その風土や土地と自分たちの要求にあう品種を作っていきました。
最初はF1だったけれど、最後は自分たちが納得した品種の特徴を残す種だけを掛け合わせた固定の品種を作ってきた歴史があるので、どのような固定品種でもスタートはすべてF1なのです。
それに、植物の環境適応性はすごいので、土地と気候で結構簡単に形質が変わっていってしまいます。固定種どうしをかけわせても、本来の固定種の形質と特徴を持ったものを厳密に選んで交雑させていかないと、3代、4代と種をとっていくと、元々の固定種とかなり形質が変わっているのではないか?という事になったりします。純粋な系統だけ選びすぎても、弱い種になってしまうという、とても難しい事になるのです。
種採りと母体の選別って厳密にやろうとすると結構難しいのです。

F1でも子孫を残せる

F1がダメダメと言っている方の話を伺っていると、F1は種が取れないと思っている方がとても多いです。
でも先にお話させていただいたように、F1は人間で言うところのハーフで、F1の次の世代F2(F1の次の品種)はクウォータとなり、普通に種はできるのです。ただ、メンデルの法則上、F2はF1の形質、F1の母親、父親の形質がばらけて出てくるので、必ずF1の良かった形質が出てくるわけではありません。F2は良い種が採れないという事を言う人が多いのです。
これが、F2の種はダメだという論説にもなって、それが曲解されて、「F2は種が採れない」という事につながっているのではないかと推測します。

F1がゲノム編集してあるものと勘違いしている

F1は全て遺伝子組み換えを使っていると思っている人もいます。
野菜などに遺伝子組み換えをする場合は、アグロバクテリウムという細菌を使って目的の遺伝子に組み込ませる方法が使われます。
F1を作る方法とは全く違います。
F1をつくる方法としては、雄性不稔株(雄しべに欠陥がある、男性で言うところのED=勃起障害)を使って、大量にF1を作る技術が発達してきました。このF1は次世代に種を残す事が出来ないので、これが不自然だとか、そう言ったやり方で作られた野菜や作物を食べると不妊になる・・・。と言われているのです。でも実際に不妊になるかどうかという因果関係については、まだ疑問のところがあります。

しかし、雄性不稔株を使わなくて、F1を作っている企業や団体も普通に存在しています。

F1=全て雄性不稔という概念は、自然派を自称してブランディングしたい人たちの戦略とも見えると思います。

F1の利点。


F1が多く使われるようになった理由は、雑種1代目なので学校で習ったメンデルの法則で言っているように、優勢の法則が働き、両親の良い部分、優勢の部分が次の世代に伝わるため、例えば父ちゃんが病気に強く、母ちゃんが美味しく形が良かったら、その子は病気に強く、美味しく良い形になるのです。
そして、その品質のものしか出てこないので、生産と品質が安定するのです。
これは、今の規格のものしか買ってくれない業者や、形の揃ったものしか好まない消費者が多い中で、生産者の農家としてはとても助かる部分になります。

F1だらけになった時の問題点


F1品種を作るには、それなりの開発費用がかかってくるので、その開発費用が上乗せされて価格が上がるという点があります。
そして、その開発した会社によっては特許上、その品種の子の自家採種を禁止するという事になります。
どうしても、固定種よりもF1の方が収量も多いし、発芽も良いという点で農家はF1を選びがちです。種苗会社も商売なので、F1が売れるので、F1を多く作るという傾向にあります。この流れはなかなか止められないのも事実です。
どうしても固定種や在来種を作りづらくなっているのだと思われます。

F1品種ばかりになって固定種や在来種が少なくなっている原因としては、農家が買わなくなったという点もあると思いますし、近年の異常気象でも生育できる品種を求められて、よりF1の品種が多くなる可能性だってあります。

もし固定種や在来種をより多く残そうとするのなら、昔の農家が、その時の、その場所に合わせて様々な品種をかけわせて固定種や在来種を作ってきたように、より今の環境にあった固定種、在来種を開発する事が必要なのではないかと個人的には思います。
そのためには、いろいろなF1を作ってその特徴を固定させていくという作業が必要になってきます。

個人的には、農家の視点で見てみると、生産量や自給率の確保のためにF1だって大切にしないといけないと思いますし、近年の種価格の高騰を見ると、固定種や在来種も、もっと使って種屋さんが売りたくなるようにしないといけないのかなと思っているのですが・・・。

F1だからと言って「ダメ」というわけではないと思います。

F1を金儲けのために管理しようとする人が消費者や生産者の私たちにとっては「ダメ」なのだと思います。

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